3分診療でもできること。

その1一言で体のことを伝える。

日本に働く医者として、大前提として3分診療でよいとは思いません。

でも、少なくとも明日あさってのうちに3分診療体制が根本的に改善する可能性はありません。それを前提に、何ができるか考えたいと思います。

3分は短いけれど、使いかたによって3分診療の質を上げることはできます。

まずは前もって頭と心の準備。

ポイントはとにかく直球勝負です。

一番最初に一番困っていることを一言で伝えます。「頭痛がします」「腹痛がします」と一言で伝えてしまうのです。

 

とにかく診察室に入ったらずばっと困っている体のことを一言で伝えてしまう。そこからすべては始まります。

その2.お薬手帳や薬そのものを持参する

「よくわからないけど、白くて丸い薬を飲んでます」。

「なにか薬飲んでいますか?」と聞くとこう言われることがあります。
薬の副作用を極力避けるために、前もっての情報収集は欠かせません。


白くて丸い薬は無数にあります。

あやふやなお薬情報だけだと、リスクのあるかもしれない薬が処方されてしまったり、ほんとはベストの処方がよいタイミングでなされたかもしれないのに「薬の飲み合わせがわからないから、少し様子見ましょう」となってせっかくの受診機会を最大限活用できないかもしれません。


だからどうかお願いです。病院を受診するときは必ずお薬手帳か薬そのものをなにとぞご持参ください。
 
その3. 過去のデータも持っていく
例えばはじめてかかる病院での検査結果も、以前のデータと比較することで情報量がぐんと上がります。
たとえば貧血の数字ヘモグロビン。男性は13.5、女性は11.3以上が正常ですが、高齢者だと10くらいでもふつうに生活している人は結構います。
ただ、以前の健診や別の病院での検査でヘモグロビンが15くらいあった人が急に10まで下がったとすると要注意。腸などから出血しているかもしれません。
過去のデータと比較することで検査結果の解釈が何十倍も意味のあるものになるのです。他の病院で受けた検査でも構いませんので、病院に行くときは過去のデータを持っていくのがベストです。

 

その4. 痛いところは指でさす
「おなかが痛い」と言葉で言っても、みぞおちなのか脇腹なのか下腹部なのかで疑う病気がかわってきます。みぞおちだったら心臓や胃の病気かもしれないし、脇腹だったら腎臓の病気かもしれません。下腹部だったら膀胱や腸の病気かも。
症状のある場所を言葉でうまく説明しづらかったら、思い切って指で痛い場所をさして、「とにかくここが痛いんです」と伝えてしまうのがよいです。
パソコンばっかり見ている医者も必ず顔を上げますし、言葉の通じない海外でも有効な方法です。
お試しください。


その5. 「最近」は×、「○月○日から」は○
「最近なんとなく調子が悪い」という伝え方では、その「最近」が昨日からなのか数か月前からなのか数年前かわかりません。いつからなのかが具体的にわかるだけで、医者が想定する病気はぐんと絞られていきます。
だから医者に症状を伝えるときには「最近」ではなく、「○年前から」とか「何月から」とか「11月6日から」とか分かる範囲で具体的に症状がはじまった時期を告げるのが大正解です。